合理的な測定をおこなうための設定
分銅を校正に出す際に、検査にクラスがあることにお気づきでしょう。果たしてこれは何なのかという質問が寄せられることも少なくありません。そもそも校正は「不確かさ」を測定する作業ですが、簡単に言うと、測定値が真の値とどれだけの誤差範囲にあるかを確認することを意味します。あらゆる検査によってこの不確かさを調べるわけですが、中でも測定方法や測定回数は結果を左右する重要な要因です。そのため、より精緻な測定結果を得るためにはより精緻な方法を用い、回数を重ねて測定する必要性が生まれます。ただそれに比例してコストがかさみ納期も長くなることから、あらかじめ校正自体にクラスを設定し、必要とされる精度で検査を合理的におこなうことが一般的となっています。質量の公正さは企業の社会的信用に結びつく重要な事項ですので、検査に出す際にはあらかじめ必要とされるランクを明確にすることが重要です。
検査のランクと分銅の等級制度の違い
校正ランクは実施する業者側が設定するものですが、これとは別に分銅自身にも等級があります。さまざま形状がありますが、形状ごとに用意されている質量や材質、等級があり、誤差を規定の限界内に保つための指針となっています。等級と最大許容誤差はmg単位で決められており、例えば表す量が20kgならF1級(特級)で最大許容誤差100mg、F2級なら300mgとされています。その下になると、M1級(2級)で最大許容誤差1000mg、M2級(3級)で3000mgとなるため、かなり大きな誤差が出てくることがわかるでしょう。
OIML基準は国際法定計量機関基準
分銅にはもう一つ別の基準があり、OIML基準というものがあります。OIMLは国際法定計量機関の事で、主にこの基準は海外利用が多いのが特徴と言えるでしょう。中でもOIML型は最上位に位置づけられており、厳格な検査がおこなわれます。OIML型前述したF1級以上の最上級として用いることが可能であり、まさに世界基準で作られた公差の低い最高級品と言うことができます。最大許容誤差を見ても、OIML型のE1級は表す量が20kgの場合±10mg、E2級でも±3mgと、非常に精緻なことがわかります。このように機器にはさまざまな等級があり、それに合わせて検査にもクラス設定があるため、あらかじめ必要とされるレベルを明確にすることが重要です。